2023/10/14
以下をアップしました。
このページで、
『福祉現場の経験から得た「人生観・価値観」への期待』
という表現を用いました。
福祉現場の経験から得られる「人生観・価値観」は、多くの人の生き方や存在に直接向き合う中で形成される、非常に深くて多様なものです。以下に、主な視点からその特徴を整理してご紹介します。
1. 「生きる意味」への再認識
福祉現場では、高齢者や障害のある方、生活に困難を抱える人たちの「生」を支える場面が多くあります。その中で、以下のような気づきが得られます:
・「当たり前」が当たり前でない
食事、入浴、移動といった日常の動作がどれだけ大切で尊いかを実感します。
・「生きる力」の尊さ
逆境の中でも懸命に生きる人々の姿を見て、「生きるとは何か」を深く考えるようになります。
・人は支え合って生きる存在だと知る
自立を重視しつつも、支援や共生なしには誰も生きていけない現実に気づきます。
2. 「多様性」の尊重と包摂の価値観
福祉現場では、価値観・能力・背景の異なる人々と日常的に接します。そのため:
・一人ひとりが違うことの「正しさ」
「普通」や「常識」が人によって大きく違うことを実感します。
・他者理解の重要性
「わかってもらう」のではなく、「わかろうとする姿勢」が大切であると学びます。
・ラベリングへの疑問
「障害者」「高齢者」などの枠では捉えきれない“その人らしさ”を尊重する姿勢が育ちます。
3. 「時間」と「命」の重み
・今この瞬間の尊さ
病や老いと向き合う人々から、「今をどう生きるか」に対する真剣さを教えられます。
・人生の最期に立ち会う経験
看取りなどの場面では、「死」が決して遠い存在でないことを実感し、自らの生き方を問い直す契機になります。
4. 「役に立つ」ことの再定義
・小さな関わりが大きな支えになる
ほんの一言、手を添える行為、笑顔が大きな意味を持つことを実感します。
・自己効力感の再構築
支援者である自分が「役に立っている」と感じるよりも、「共に歩んでいる」という感覚が重視されます。
5. 「制度」や「社会」への問い
・社会の不平等を肌で感じる
支援が必要な人ほど制度の壁にぶつかる現実に出会います。
・制度の限界と人間の力
公的制度では支えきれない部分を「人と人とのつながり」が補っていることに気づきます。
福祉現場の経験を通して得られる人生観・価値観は、
・命の尊さ
・人間の尊厳
・多様性の受容
・「生きるとは何か」への問い
・制度ではなく人が支え合う社会のあり方
といった、人としての根源的なテーマに直結するものです。
これらは福祉職にとってだけでなく、すべての人の生き方にとって示唆を与えるものです。